ベトナムといえば、やっぱりフォー。
喧騒止まぬハノイの中でホッと心をほぐせる
小さなプライベートスペースに現れた、
アジアの空気と絶妙なカラーバランス。
首都・ハノイで思いっきりストリート・ウォッチをし、サイバーな夜行バスに乗って天空のサパへ。いわゆる海抜の高低差が最も激しかったベトナムの旅からは、取材で撮った写真の中から特に素晴らしいカットを選んでプリントしています。
写真家は伊達直人さん。本誌のさまざまな特集ページの他、カタログや広告でも活躍しています。今回の特集の表紙、および総扉(特集がスタートするページ)は伊達さんの写真になりました。
Instagram: @notdat_ph
このフォーはハノイの旧市街と呼ばれるエリアにある人気店『Phở Thìn』(フォーティン)のフォー。本場では定番の具材は牛肉で、その肉の量、スープの濃さ、肉の量、ネギのシャキシャキ感、どれも段違いでした。成田からLCCのベトジェットで往復3万5000円くらいでハノイに着き、ホテルに荷物をおろし、すぐにこちらへ。ペッコペコのお腹に沁みた……。
フォーのTシャツなんて聞いたことも見たこともないのですが、この写真はとにかく東南アジアの旅の雰囲気をよく捉えていて、ハノイの旅のトップページにもドーンと使っています。大衆食堂のテーブルに並ぶものと、その配置、当然の相席によって偶然生まれた絶妙なカラーバランス、運ばれてきた一杯の心を弾ませるシズル感。喧騒が止まないハノイの旅の中で許された小さなプライベートスペースの空気感が感じよく表現されていて、Tシャツにしたくなっちゃいました。写真家もこのチョイスには驚いていました。
とにかくフォーが美味しそうなのですが、このTシャツはプリントにおいても工夫をしています。
生地の色はヘザーグレーで、杢がありいわば不均一な模様があるのですが、普通はこの手のボディにグラフィックをプリントするときには一度ホワイトを敷いてからプリントをするという方法をとります。ですが、このTシャツはあえて白を引かずに写真をそのままプリントしました。
白を敷けばはっきりと色が出ますが、塗料が二重になることで生地の風合いは損なわれます。今回は<久米繊維>の気持ちいい着心地をそのまま生かすべくあえて一重にしてみたら、大衆食堂のスレたテーブルの表面や、クリアなプラスチックのティッシュケースの雰囲気に生地の杢が感じよく調和して、ナチュラルな表現が可能になりました。今回採用した最新式・高水準のインクジェットプリントで、フォー自体のシズル感もバッチリ。同じものが2つとない、着ごたえがある一着にをぜひ手にとってみていただきたいです。
最後に少しだけ、サパでの旅情を感じられるカットもどうぞ。
手作りのはんこ屋さん。お土産にちょうどいい。ハノイの路上にはこのカラフルで軽いスツールが溢れていた。
タクシーの運転手御用達のストリート床屋。耳かきをしてくれるところも。
ハノイは見渡す限り、バイク! 夕方のラッシュがすごい。
旧市街のホアンキエム湖はローカルたちの憩いの場。周囲のいくつかの道路が毎週末・夜に歩行者天国になり、大盛り上がり。