どこまでも広い青空と大草原に、
ポツンとチンギス・ハーンの巨像!?
スケールの固定観念に捉われない1カットを
背中にでっかくドーンと。
成田から直行便で首都・ウランバートルへ降り立ち、憧れの寝台列車で南へ、爆走する車で東へ。超特急で駆け抜けたモンゴルの旅からは、取材で撮った写真の中から特に素晴らしいカットを選んでプリントしています。
写真家は安保涼平さん。本誌のファッションページの他、カタログや広告でも活躍しています。
Instagram: @ryoheiambo
写真の場所は、東の避暑地・テレルジ国立公園の近くにある巨大なチンギス・ハーン像。密かに気になっていた名所で、そのデカさは実に台座を含めて40m! 間近で見上げるとビックリするし感動します。そして、鎌倉の大仏のように、この中に入れます。
馬のたてがみ部分は展望台になっていて、エレベーターや階段でアクセス可能。そこから眺めるモンゴルの大草原は文字通りの絶景でした。眼下の広場では、馬やラクダが常駐。お金を払えば乗ることもできるという。
この写真は、本誌では加工をして切り抜いているのですが、1枚絵として見ると不思議な魅力があります。はるか遠くまで突き抜けてどこまでも続く青空。気持ちよく漂う雲。視界の端から端まで山と草原が広がり、その中にチンギス・ハーンが立っている。この像はとてつもなくデカく、それは感じられるのだけど、それでも絵としてはポツンとそこにあるようにも見えて実際の大きさは掴みきれない。物体が大きすぎて下の小屋や車が比較対象にならず、周りに何もなくて包み込むのは広大な空と大地だけ。というように見える構図がそうさせるのだと思うのですが、実は巨大なのにそう思わせない、スケールをはっきりと把握させない面白さがあると思います。こんな写真はモンゴルじゃないと撮れないでしょう。
そしてとにかく景色が美しいのですが、プリントにおいても工夫をしています。
生地の色はヘザーグレーで、杢がありいわば不均一な模様があるのですが、普通はこの手のボディにグラフィックをプリントするときには一度ホワイトを敷いてからプリントをするという方法をとります。ですが、このTシャツはあえて白を引かずに写真をそのままプリントしました。
白を敷けばはっきりと色が出ますが、塗料が二重になることで生地の風合いは損なわれます。今回は<久米繊維>の気持ちいい着心地をそのまま生かすべくあえて一重にしてみたら、雲の中に生地の杢がほんのりと現れて、むしろ同じものが2つとないナチュラルな表現が可能になりました。全体としても大自然の雰囲気を感じられる方向に。ぜひ、手にとってみていただきたいです。
最後に少しだけ、モンゴルでの旅情を感じられるカットもどうぞ。
これがウランバートル駅。今回の旅の拠点がココ。
テレルジ国立公園にある、宿泊したゲルの近くの風景。馬、羊、牛が野生に近い形で放牧されていた。
宿泊したゲルの上に広がる夜空には、完全に満天の星。寝ることも忘れて、子供のようにずっと眺めていた。