Brand Guide
<ANDERSEN-ANDERSEN>(以下、A-A)は、2009年にCathrine Lundgren Andersen(カトリーネ・ルングレン•アンデルセン)さんと当時のパートナー・Peter Kjær-Andersen(ピーター・キエル・アンデルセン1964-2018)さんが設立した、デンマークのニットブランド。ピーターさんはポスターデザインをメインとするグラフィックデザイナー、カトリーネさんはニットデザイナー。
公私ともにパートナーだったふたりには、「デンマーク家具のように、機能的、タイムレス、素材がよく、手作り感がある、ファッションに左右されない、工業デザインのようなプロダクトを手がけるブランドを作りたい」という夢があったそうだ。
たまたま立ち寄ったセカンドハンドショップで古いフィッシャーマンセーターを見つけ、ニットデザイナーのカトリーネさんはこれに強く興味を持った。
そして、「デンマークはバイキングの時代から、海との関わりがある海洋国。フィッシャーマンセーターは実用衣類であり、工業的なアプローチで作られている。伝統的に愛用されてきたセーターを現代の生活に合うようにリデザインしたら、よいものが作れるのではないか?」と思ったそう。そこで、ふたりは1年ほどかけて、彼らのアイデアを実現してくれる羊毛業者や工場を探し、ようやく見つけた北イタリアのニット工場で現在も<A-A>のニットウェアを製造している。
「設立時からマリタイム・ニットというテーマに絞って、多くのアイテムを手掛けませんでした。高品質のものを作りたいからコレクションの種類は少ないですが、そういうポリシーがわかる顧客に支えられて、ここまでやってこられたのです」とカトリーネさん。
前後が同じデザインのフィッシャーマンセーター(航海中は着替えに時間をかけられない船員が脱ぎ着しやすいよう、身頃に前後がないという実用的なデザインをそのまま取り入れているため。)は、創設時からずっと変わらずブランドのシグネチャー・ウェアだ。
デンマークの首都・コペンハーゲンの市内中心部、ガメルトー広場に面する建物にあるのが、<A-A>の本社。デンマークが誇る巨匠建築家・ Arne Emil Jacobsen(アルネ・ヤコブセン)が塗料会社ステリングのために設計し、1937 年に完成したこの建物は、その社名から「Stellings Hus」(ステリングス・フス) と呼ばれている。
竣工時は、鉄筋コンクリートとモダンなフォルムが、周辺の1800年代の建物の中では異彩を放っていたが、現在ではすっかり溶け込んでいる様子。ステリングス・フスが長い年月の末、伝統的な広場や建物と調和がとれているのをヤコブセンは想像していなかったかもしれないけれど、現在は指定された保存建物のひとつだ。
<A-A>が最初にこの建物の3階に事務所を構えたのは、2016年。以降、少しづつ移転して、この2023年にフラッグシップストアも含む、ブランドの全機能がここに集結したという。
「デンマーク家具のように機能的で素材がよく、タイムレスに使われるマリタイムニット」をブランドポリシーにする<A-A>が、エッグ・チェアやセブン・チェアなど、現在も世界中の人々に愛される家具をデザインしたヤコブセンによる建物を拠点にしているのも、よくわかるよね。
作っているニットウェアと同様に、フラッグシップストアで使っている什器や、オフィス・ショールームの家具にも、彼らの「オリジナルなもの」「長く使っていけるもの」という考えが行き届いていた。
「Stellingpendel」という名前の、アルネ・ヤコブセンがこのステリング・フスとStelling社のためにデザインした白い照明や、Poul Henningsenのペンダントランプ「Contrast」、アルネ・ヤコブセンの「Airport Sofa」、さらに自分たちでデザインしたり、カスタムしたりしたものが織りなす空間は、ここでしか味わえない雰囲気。
そして、今回の商品制作や、カトリーネさんへのインタビュー取材に対応してくれたスタッフのみなさんがとてもフレンドリーだったことも印象的。羨ましいのは、社内にランチを作る専門のスタッフがいること。昼食は毎日大皿をシェアするようなファミリースタイルだそうで、ほうれん草のサラダもいろいろなスタイルでよく登場するそうだ。食べてみたい!
<A-A>のニットウェアに使われるのは、もちろん100%オリジナルの糸だ。パタゴニアとウルグアイのピュア・ニューウールを使用し、高密度に紡績して耐久性を高め、ヨーロッパの最高環境基準を満たす反応染料を使って染色している「エクストラスパン」(強撚糸)だという。
言葉でいろいろ述べても小難しいと思うので、とにかくまず、触れてみてほしい。例えば今回のコラボレーションで作った大定番の3型は5ゲージという、ブランドにおいて最もヘビーデューティなものだが、確かにしっかりした生地感で、タッチは滑らかであり、体に馴染むしなやかさはあるけどシルエットは崩れにくく、見た目に品があるのである。もちろん、保温性にもとても優れたものだ。
5ゲージのこのニットウェアについてもう少し。カトリーネさん曰く、「フルカーディガンスティッチ(日本語で両畦編み)で編まれているので量感があり、タイトに編まれているので毛羽立ちが起きにくく、いつでも綺麗な見た目を保つことができます」。
数量限定だし、せっかくの買い物だから、大切に着たい。そんなキミのために、<A-A>からケアについてお伝えしてもらおう。
1.洗濯の仕方
洗濯の前に(特にウールの場合)、風通しのいい場所に吊るしてください。セーターをハンガーにかけ、1,2時間程度、屋外に干すか、もしくは風通しの良い室内に吊るすだけで、ほとんどの臭いを中和してくれます。
小さなシミなら、布と水で落とせる場合が多いです。
丸洗いがどうしても必要な際は、すべての衣類は手洗いすることができます。その場合、衣類を裏返しにし、30度以下の水で洗うことを推奨します。温水は風合いの変化や縮みの原因となるため、使用しないでください。適切な中性洗剤を使用し、ウールを洗濯する場合はウール専用洗剤をご使用ください。柔軟剤は不要です。洗濯後は濡れている状態のうちに、やさしく伸ばして形を整えてください。
2. 乾かし方
セーターを洗った後は、清潔なタオルで余分な水分をやさしく叩くようにして拭き取ってください。水気がだいぶ取れましたら、常温で平干しにして乾かしてください。(ハンガーに吊るして乾かしますと、形が変形してしまうことがあります。)
3. アイロン/スチームの使い方
セーターの折り目やシワを取りたい場合、アイロンまたはスチーマーを低温設定で使用し、ウールに直接触れないようにして当ててください。アイロンを使用する場合は、湿らせた布をセーターの上に置き、その上から当てることにより、より効果が得られます。
4.保管の仕方
セーターを衣替え等で仕舞っておく際は、クリーニングして、たたんで保管してください。防虫・防湿のため、ポリ袋をお持ちの場合は、袋のまま収納されることをお勧めします。