高円寺の『KIOSCO』が作ったタコスの手ぬぐいと水のグラス。
『KIOSCO』店主・後藤有哉さんとは、2019年8月号「メキシコが呼んでいる!」特集で一緒に現地・メキシコシティを駆け回りました。『KIOSCO』のメキシコでの買い付けを取材したページは思い出深いそうで、後藤さんが選んだバックナンバーもやはりそのメキシコ特集!
ー『KIOSCO』といえば、メキシコや中南米のカルチャーを中心に、僕たちには普段なかなか馴染みのない何かに触れさせてくれる店っていう印象がますます強くなっていますけど、最近メキシコに買い付けに行ったのはいつですか?
後藤:昨年の11月です。まだお店に出せていないものがたっぷりあって、倉庫がヤバいです(笑)。
ー5月にはお店をリニューアルして。また濃くなりましたね(笑)。
後藤:外に「RECUADRO KIOSCO」を作ったのが大きいですね。Recuadroは日本語だと「箱」という意味なんですが、週末とかにはここで友達のブランドやショップとポップアップをしていきます。平日は窓を閉めていますけど、うちがどういう店なのか外からもわかるようになって。この中で使っている棚が、実は以前の店内のカウンター。ピッタリで(笑)。それで店内のカウンターを作り直しました。「なら、上に一本、看板いっちゃう?」みたいにパッと思いついて、勢いでどんどん進めて。5日間でDIYしてリニューアルオープンしました。
ー新しいカウンターに描かれた「BIENVENIDOS」は、「いらっしゃいませ」ですか。商品がぶら下がっているこの感じ、メキシコのキオスコ(小型の売店)そのものな感じでいいですね。
後藤:『ポパイ』のメキシコ特集で一緒に取材したあのキオスコが、僕の中ですごくイメージが強いんです。ページに載った、僕たちとあのキオスコの写真はとても思い出深くて。公園にありましたよね?
ーメキシコシティの上野公園みたいな、すごく大きいチャプルテペク公園の、現代美術館のそばにありましたね。キオスコがめちゃめちゃ並んでいる場所だったけど、美術館が休みの日だったから2軒しかやってなくて、そのうちの1つでした。
後藤:店員の若い子、機嫌の上下が激しかったのもよく覚えてます(笑)。実は、今回作ったグラスの「AGUAS $10」の文字は、この写真からトレースしたんですよ。
#868 2019年8月号「THE MEXICO CITY GUIDE メキシコが呼んでいる!」特集
#868 2019年8月号「THE MEXICO CITY GUIDE メキシコが呼んでいる!」特集
ーおー、本当だ。この電光掲示板の「AGUAS $10」ですね。なんでAGUAS = 水 なのかなーって思っていたんです。
後藤:このページは思い出が強いんで、使いたいなって。でもすごく悩んだんですよ。AGUASもいいけど、JUGO(ジュース)もいいなって。でも、ジュースよりも水の方が自由だなって。
ーこの電光掲示板にはいろんな文字が出ていて、掲載する写真を選ぶときに同じように迷いました。その中で、僕らも水を選んだんです。
後藤:水って誰もが受け入れられるものだからいいなって。あと、海外の街に行くと、まず水を買うことが重要じゃないですか。メキシコなんて暑いし。その国ならではの水のブランドも楽しいですよね。日本ならいろはすとかみたいな。メキシコならBONAFONTで、暑いと普段持たないようなデカいボトルを買っちゃったりして。それで街を歩いてて、BONAのトラックが走ってたらなぜか気分が上がっちゃうみたいな。「BONAのトラック、いるー!」みたいな(笑)。
ー確かに(笑)。
後藤:あと、現地でみんなが「カロ! カロ!」って言うんですよ。暑い、って。そして、「アグア! アグア!」って言ってるんです。暑いんだから、水飲め、って。「ムーチョ カロ!」「アグア!」みたいな。これもすごく印象深くて。あと、コロンビアのアーティストのJ. Balvinが出した『スポンジ・ボブ』の映画の歌も『AGUAS』っていって、それもよかったんですよね。
ーただ「水」って描いただけなのに、こんなに語れるのっていいですね(笑)。あとは、反対側のこのロゴですね。
後藤:アイデアソースは、メキシコの商品のパッケージなんかによく載っている「メキシコ製」を表すマークです。「HECHO EN Mexico」=「Made in Mexico」ですね。
ーお土産物とかにも、このマークは結構入ってますね。この鳥はなんだろう。メキシコの国鳥はハヤブサ目のカラカラだけど。
後藤:この鳥をPOPEYEのPロゴにしたら、意外にもバッチリはまった感じがしたんです。メキシコって暑いから「ドリンク」っていうイメージがあって、だからこのアレンジしたロゴを入れてグラスを作ろうかなって。これからグラスを使いたくなるいい季節ですしね。
ーメキシコにスポットをあてたグラスって、あるようでないからいいですね。あと、手ぬぐいのほうはどうですか? 後藤さんといえば、いつでも手ぬぐいを持っていて、首から下げているイメージですけれど。
後藤:はい。毎日持ってますね。冬でも絶対持ってます。
ーメキシコシティで買い付けをしているときなんか、とても便利そうでした。
後藤:そうですね。濡らして首にあてていれば涼しいですし、乾きもいいですし、頭にかぶせれば日除けにもなるし。
ー後藤さんのブランド<RWCHE>でも、ずっと手ぬぐいを作っていますけど、今回のPOPEYEとの手ぬぐいはタコスをネタにしてるんですよね。すぐにそうだとわからない人が多そう(笑)。
後藤:タコスのメニュー名を6つ、配置しているんです。肉のタコスだけですけど、タコスの種類なんて知っていそうでみんな知らないだろうから、そこがいいと思って。パストールとか、スアデロなんか、タコスのスタンダードなんだけど、日本だとまだ「タコスはタコスでしょ?」くらいな感じだろうし。
ー確かにそうかもしれないですね。タコスのメニューが並んでいる手ぬぐい、って見たことないです。ちなみに、後藤さんが好きな種類って、なんですか?
後藤:基本、ビステックが好きです。現地でも迷ったら「ビステック」って言ってます。
ーすごくシンプルな、塩と胡椒で味付けして鉄板で焼いた牛肉。それだけっていう。でも、こういうのが結局、飽きがこなさそうですね。
後藤:僕にとっては、一番カジュアルでいいですね。メキシコ特集の取材のときに、ポパイチームが「滞在中に1チーム何皿食べなきゃダメ!」みたいなノルマを作ってたじゃないですか。それを結構強く覚えていて、この手ぬぐいを思いついたんです。
ー食べたタコスの種類にチェックしていったり、他にもチチャロンとかギサードスとか、ここにないヤツを描き込んだりして、この手ぬぐいを育ててもいいかも。
後藤:ロンガニザはあんまり出合わないかもしれないけど、前回のメキシコシティの買い付けですごくうまい店を見つけたんですよ。ソーセージとかそういう加工品のタコスですけど、最高でした。いつか、『KIOSCO』もタコスを作って出せたらいいなぁ。
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profile
後藤有哉
『KIOSCO』共同オーナー
ごとう・ゆうや|1986年、秋田県生まれ。上京して原宿のストリートブランド<BOUNTY HUNTER>での勤務を経て、2012年に自身のブランド<RWCHE>をスタート。2019年、原宿で過ごした時期に出会った松浦宏之さんと共に、スモールブランドのアパレルやメキシコを中心とした中南米の雑貨を扱うショップ『KIOSCO』をオープン。
●東京都杉並区高円寺北3-31-19
☎︎なし
14:00〜19:00
休みはインスタグラムにて
Instagram: @kioscojpn
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